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経営者が本当に取り組まなければならない仕事とは?【新米人事の備忘録vol.4】
2023.11.14
- 新米人事の備忘録
- 竹本塾・竹本図書館
【目次】
①「経営者」の役割とは?
②役割を果たすために、本当に取り組まなければならない仕事とは?
③経営者は孤独に取り組むべきなのか?
①そもそも「経営者」の役割って何?
「経営者」とは社員を雇用している立場であり、会社を引っ張る代表です。
これは会社によって一人で担う人もいれば、「経営層」として複数人のメンバーで担う場合もあります。
では、経営者は会社を“どこへ”引っ張っていくのでしょうか?
ここでは、一橋大学国際企業戦略研究科教授である、楠木建氏の有名な著書『ストーリーとしての競争戦略¹⁾』を参考にさせていただきますと、
その答えは「長期にわたって持続可能な利益」を追求するということです。
これは、会社の中の従業員まかせにしてよいものではなく、会社のトップが高い視座を持ち、取り組まなくてはならない業務なのです。
※顧客や従業員の満足度、社会貢献、株価やシェアなどではないかという疑問については、当著書の中でも説明されておりますので書店などでご確認ください。
1)楠木建『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』東洋経済新報社,2010年5月6日 第1版,P71.
②経営者が「本当に取り組まなければならない仕事」とは?
経営者の仕事は、非常に多岐に渡ります。
経営方針の決定・各種戦略設計とリソースの分配・資金繰り・社員の人事(採用、雇用管理、育成)・事業の設計と推進・社員が働く環境づくり・組織状態の改善・etc… と、会社で最低限共通とされる内でさえ、すぐに両手の指が埋まってしまいます。さらには、この各種項目の中でさらに細かい業務が存在しますので、全部を意識して行動しようとすれば、目の前の必須業務をこなしていくことで手一杯になることは当然と考えることができます。
それでは、経営者が本当に取り組まなけばならない、長期にわたって持続可能な利益を生み出すための仕事とは、どのような仕事なのか?
答えは、下の表の中にある「緊急ではないが、重要」に当てはまる仕事に取り組むことです。
この表は「アイゼンハワー・マトリクス」というもので、業務を「緊急度」と「重要度」で整理する手法です。
この手法は、第 34 代アメリカ大統領、ドワイト・D・アイゼンハワーの演説中の言葉、「私は緊急なものと重要なもの、2 種類の問題を抱えている。緊急なものは重要ではなく、重要なものは決して緊急ではない。」から、ちなんで名付けられました。
多忙を理由に、本当に重要な仕事を先延ばしにしてしまえば、長期的に行き着く先は破滅です²。
この考え方は、会社のどの階層の従業員も意識できることが理想的です。しかし、どの階層が最も意識して行動すべきかというと、それは紛れもなく経営者です。
長期にわたって利益を追求するためには、必ず熟考が伴います。この仕事は、まさに「緊急ではないが重要」な取り組みです。「手を動かしていれば…」「やる気と根性があれば…」「目の前の業務をこなしていれば…」といった緊急な仕事とは、根本からちがう仕事なのです。そしてこれは、従業員ではなく経営者自身がやらねばなりません。
あなたの会社の経営者、もしくはあなた自身は、この1ヶ月の間でどれだけの時間を「緊急ではないが、重要」な仕事に充てることが出来ていたでしょうか?
2 アリス・ボーイズ「多忙で仕事を先延ばしにすると4つの理由で自滅する」 ハーバードビジネスレビュー,2018.10.30.
③経営者の悩みは、経営者が孤独に立ち向かうべきものなのか?
あなたが従業員なら「経営者は大変だな」「ウチの経営者はやってなさそうだな」など、ある程度は他人事に感じるかと思います。
しかし、もしあなた自身が経営者なら、恐らくこのように感じるのではないでしょうか。
「そんなことは百も承知だよ!でもそんな暇もないんだよ!」
「長期にわたって持続的な利益の見込みがあれば、こんな苦労してないよ!」
「緊急ではないが重要が大切なのは知ってるけど、具体的に何をすれば正解なんだよ!」
繰り返しになりますが、経営者の仕事は非常に多岐に渡ります。さらには、経営者であるから取り組める業務が多いため、自社の社員にも明確な共感が得られず、ある意味で孤独を感じることも少なくはないのでしょうか。経営者の視座だからこそ見えることが多いため、それより下の視座にある周囲の従業員に対して、どこまで頼ればよいのか判断するのも難しいものです。
この解決策について一つ考えられるのは「同じ視座の者と、相談や情報交換を行う」というものです。
そもそも同じ悩みを抱えているであろう他の経営者であれば、今の自分の悩みについて的確なアイデアや経験などのアドバイスを得られる可能性が高いです。また、自分自身が他の経営者に対して、支援できることも少なくないでしょう。さらには同じ悩みを持っていれば、共に考えることで一人では考えつかなかった改善案なども生まれやすいです。場合によっては、そこから取引や新規事業の創出につながるかもしれません。
「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」という有名な言葉がありますが、これは「愚か者は自分自身のみの経験で物事を考え、賢い者は歴史=他の人の経験までを参考にして物事を考える」という意味です。
よって、経営者同士での学び合いという行いは、交流の質を高めることができれば、非常に価値の高い仕事にすることが出来るのです。
最後に「交流の質を高めれば」と申しました。
どういうことかというと、ただ交流するといってもお酒を飲んでダラダラ親睦を深めたからといっても、「緊急ではないが、重要」な仕事に本当に真剣に向き合えているのかという点については疑問が生じます。
本当に求められる交流には、
①「緊急ではないが、重要」の先のゴールを設計して、実際に取り組むこと
②自分がどれだけ取り組んだのかを定期的に振り返ること
③自分の企てや進捗を、経営者同士で定期的に話し合い、高め合うこと
これらの3つの条件が必須となります。
しかし現実的に、経営者同士で集まってやりましょうとなることなど早々なく、集まれても互いに忙しいゆえに気が付いたら自然消滅というような未来は、容易に想像が可能です。
そこで弊社SWITCH WORKSでは、上記の3条件を踏まえて経営者同士が「緊急ではないが、重要」な仕事に取り組みつつ交流できるプログラム「SSP(経営層コース)」をご用意しております。
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