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新卒の新入社員たちは、何が原因で離職を考えるのか?【新米人事の備忘録vol.2】
2023.10.31
- 新米人事の備忘録
- 竹本塾・竹本図書館
【目次】
①新卒で会社員となる若者は、何を原因に離職を決めるのか?
②人事においては、どのような対策を取れるのか?
①新卒で会社員となる若者は、何を原因に離職を決めるのか?
「最近の若者は忍耐力がない!」という言葉は、世界各国で紀元前から言われ続けているらしいですが、人事の仕事をしていると、時には同じことを思うことがあるかもしれません。
若者の早期離職については「七五三現象(中卒7割、高卒5割、大卒3割が新卒就職して3年以内に早期離職することを指す言葉)」と呼ばれており、厚生労働省が令和4年に発表した調査結果でも、概ね大卒を中心に横這いの数値となっております。
しかし、若者自身も好きで早期離職を行っているわけではありません。不安定な社会情勢や「ブラック企業」という言葉が一般化して久しい中、近年の若者はむしろ就労に対する意識は高まっているとも言われております。
では、どうして新卒の若者が早期離職に踏み切るのか、独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)が2020年に公表した調査結果を基に考えていきましょう。
出典:岩崎(2020)第108回労働政策フォーラム「若者の離職状況に関する分析」
理由1:採用前に提供された情報が不正確だった
1つ目は「採用前に提供された労働条件と実態とでギャップがあった」という理由です。
例としては、労働時間や勤務制度、給与や仕事内容について、採用前の情報と入職後3ヵ月間との現実が一致していない場合、3年以内の離職が高くなっています。
また、勤続期間に関わらず労働時間が長かったり、交代制やみなし労働時間制、時間管理なしで働いていた者は、3年以内の離職率が高い傾向にあることが分かりました。
理由2:法令違反・倫理に反した違反があった
法令違反や倫理違反はさまざまな内容がありますが、特に男性を中心に「業務の中で法令倫理違反が行われている」と思った若者は、3円以内の離職率が高い傾向にありました。
また、特に男性は「残業代不払い」「一方的な労働条件の変更」「暴言や暴力、いじめ、嫌がらせ」の経験、女性は「一方的な労働条件の変更」「商品買取・諸経費自己負担の強要」「仕事が原因のけが・病気」「辞職を申し出ても辞めさせてもらえない」の経験をした者が、3年以内の離職率が高いことが分かりました。
理由3:若者の採用・育成に適さない雇用管理だった
3年以内に離職した者たちが働いていた会社の傾向は、「従業員同士の助け合い」「長期的視野での熱心な教育」が乏しく「短期間に大量の従業員が離職する」という会社が多かったことが分かりました。
また男女別では、女性は「曖昧な指示のみで放置された」経験、男性は「新卒者なのに即戦力扱いされた」経験が、特に3年以内の離職につながる可能性が高いことが明らかとなりました。
また、これらの傾向がある会社は、若者に限らず人材が定着しないことも指摘されています。
②人事においては、どのような対策を取れるのか?
では、どのような改善や対策を行えば良いのでしょうか?
本調査の総括では大きく5つにまとめられています。
・採用時のRealistic Job Preview の徹底
・適切な労働時間管理
・法令遵守 コンプライアンス重視 ハラスメント防止
・会社全体で若者を長期的視野で教育する
・若者を孤立させない
平成27年に公布・施行が順次行われている「若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)」では、主な内容の1つに組織情報の積極的な提供※(平成28年3月1日施行)が挙げられています。
※新卒段階でのミスマッチによる早期離職を解消し、労働条件を的確に伝えることに加え、平均勤続年数や研修の有無及び内容といった就労実態等の職場情報も合わせて提供する仕組みのこと。
出典:厚生労働省「青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)について」
また、人事が関わる育成については、計画的な教育の視野と、ほったらかしにならない職場での育成環境を構築することが重要であると考えられます。
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