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Z世代の社員育成は、何が正解か分からない!【新米人事の備忘録vol.1】
2023.10.25
- 新米人事の備忘録
- 竹本塾・竹本図書館
【目次】
①働き方に影響する、Z世代の特徴とは?
②近年の新卒世代は、会社との付き合いをどう見ているのか?
③どのようにZ世代を育成すれば良いのか
①働き方に影響する、Z世代の特徴とは?
「Z世代」という言葉を耳にするようになり、早くも数年が経過するようになりました。
このZ世代は、1990年代後半から、2012年のスマートフォンやタブレット端末が一般化するまでに生まれた世代のことを指します。
もう後2~3年すれば、Z世代の中から30歳になる者が出てくるため、今後は「Z世代が人事や管理職を担う」という状況も増えてきます。
そこで本記事では、Z世代を中心とした近年の若者についての特徴から、特に働き方に影響するものを3つ取り上げ、どのように人事制度や育成に活かせばよいのかを考えていきましょう。
特徴1:デジタル・ネイティブ
Z世代とは、生まれた時点でインターネットが存在しており、思春期にはスマートフォンが主流となっている世代です。
これはZ世代の特徴として有名ですが、働き方の価値観にはどのように影響するでしょうか?
1つは、「答えはすぐ見つかることが当たり前」という時代環境の中で生きていることです。
現代は、何か分からないことがあれば手元のスマートフォンで調べると、すぐさま何かしらの答えを得ることが出来る世界です。そのため、例えば新人育成の場面で「まずは体当たりで挑戦」「まず自分の頭で考えること」というような言葉を投げかけた場合、Z世代の若者は「先に最低限の知識や方法を教えて欲しい」「先にある程度教えてもらった方が、成長スピードも早いし合理的ではないか」と考える傾向が高いです。この考え方の傾向は、続く特徴2にも大きく影響してきます。
特徴2:タイム・パフォーマンス重視
最近、タイム・パフォーマンス=「タイパ」という言葉が流行しています。
このタイパとは、時間に対する満足度を求める“時間効率”を意識した消費者行動のことでして、たとえば、動画を倍速再生モードで視聴することや、ショート動画などの短縮動画の流行、スキマ時間でバイトが出来るサービスなどが、「タイパが良い活動」と言われています。
このタイパは「時間がないから時間を大切にしたい」時短型の人と、「待ちたくない・今すぐ楽しみたい」バラエティ型の人との2種類に区別されます。中でも若者層にはバラエティ型の者が多く、その背景には、特徴1で取り上げたデジタルツールを通じて、タイパ重視なサービスが広く一般的に普及したからだと言われています。
このタイパ志向が強いと、働き方ではどのような価値観に繋がりやすいのか?
1つは、時間効率を重要視した合理的な考え方をしやすい傾向があります。この考え方は、生産性という面を考えると悪くない性質であると考えることもできるかと思われます。しかし同時に、いわゆる「石の上にも3年」という価値観や、忍耐に対する考え方について、重要ではないと判断する傾向も高くなります。これは特徴3にも大きく関わってきます。
特徴3:転職に対して悪いイメージが少ない
2017年の内閣府の調査「就労等に関する若者の意識」によると、転職に対して否定的な意識を持つ若者は、全体の17.3%しかいないことが明らかとなっています。
出典:内閣府HP:平成30年版 子供・若者白書(概要版)「特集 就労等に関する若者の意識」
また、調査の後に起きた新型コロナウイルスの大流行により、安定している思われていた企業や業界の構造も大きく変動しました。現代の様々な面で不安定な社会情勢や労働市場環境を踏まえると、特徴2でも述べた「石の上にも3年」といった考え方を、かえってリスクだと考える若者は少なくありません。結果として、今日の若者の転職への意識は、調査結果よりもさらに肯定的、ひいては当たり前のものになっているとも推測されます。
さらに、特徴1でも取り上げたデジタル・ネイティブ世代の性質から、実際に転職した者の声(特に転職を後押しする内容のもの)を知る機会や、転職支援サービスの広告に触れる機会が、SNSや動画配信プラットフォーム等を通じて非常に多いため、より転職に関する意識の形成に影響を与えていると考えられます。
②近年の新卒世代は、会社との付き合いをどう見ているのか?
先程まで確認したZ世代の特徴を踏まえて、近年の新卒世代や若手層は、会社との付き合い方や就労意識をどのように捉えているかを確認しましょう。
結論から述べると、非常に短い時間軸のスパンで評価を繰り返す傾向があると考えられます。
これはどのような意味なのかと言いますと、会社としては年単位で新入社員を育成して、徐々に業務に慣れていってもらいたいと考えていても、肝心の新入社員は最初の1年間・半年・1ヶ月・1週間や1日という短い単位で、「自分がこの会社に合っているのか」「良い環境の会社に就職できたのか」などの評価を極めて短いスパンで下す傾向が高いということです。
この傾向は就職意識の高さに関係しておらず共通するため、会社と新人との間で時間軸の認識にズレがあった場合、新人が仕事に対して高い意識があるほど悪影響が大きくなると言われています。この問題については、2011年の時点ですでに警鐘が鳴らされており、現代においては上記までの3つの特徴を踏まえると相当に深刻化していると考えられます。
出典:竹中(2016)「新入社員の就職意識と企業の社員への期待の違いについて」鹿児島県立短期大学紀要 人文・社会科学篇
③どのようにZ世代を育成すれば良いのか?
結論から述べますと、「いかに丁寧なフォローアップが社内で行えるか」が、新入社員の育成には重要となっております。
上記で取り上げていませんが、Z世代には承認欲求が高いという特徴があります。これが会社であれば、職場への貢献感や上司からの褒め言葉などで満たされる性質です。実際に、弊社で2023年度の新入社員を100名以上を継続的に実態調査をしたところ、特に新入社員のモチベーションを高める要因の1つに「上司からの褒め言葉や、丁寧な関わり」が業種に関わらず共通してみられました。
また、毎年4月に実施している弊社の調査で「上司に期待することは何か」という質問に対し、一貫して「相手の意見や考え方に耳を傾けること」「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」が上位に挙がっています。
これらのことから、Z世代となる新人や若手の育成においてはOJTやOFF-JTなど「学ぶ・知識を知る」という機会だけではなく、それを踏まえて困った時にどのようにサポート・フォローアップが出来るかが重要となってきます。
「これらのような育成はやりすぎなのでは?」と感じられるかもしれませんが、
実際に2023年のリクルートワークス研究所による調査「企業調査による人材定着率の新卒・中途比較 -基礎的データの確認-」でも、人事制度や丁寧な育成環境が3年目の定着率に良い影響を与えていること、さらには「一人当たりの能力開発投資額」が高いほど離職・転職をせずに企業に留まる傾向が高いことが指摘されています。
出典:梅崎,西村(2023)「企業調査による人材定着率の新卒・中途比較 -基礎的データの確認-」リクルートワークス研究所
これらのデータからも、やはりZ世代の育成についてフォローアップが重要であることの裏付けになると考えられます。
しかし当然ですが、上司には上司の仕事があり、すでに忙しい中で丁寧な指導やフォローアップ、そのための日々の観察までを行うのは、相当難しいです。
そこで、弊社の新入社員研修では、「新しく何かを学ばせる」という従来の研修スタイルに加えて、「定期的にフォローアップを行うための支援を行う」という新しいタイプのコースをご用意いたしました。
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