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新人の早期戦力化を目指すとよく言うけど、“早期”っていつ?【新米人事の備忘録vol.7】
2024.03.05
- 新米人事の備忘録
- 竹本塾・竹本図書館
【目次】
①岡山の人事担当者は、早期戦力化の時期をどう考えているのか?
②2023年度の岡山の新入社員や2024年度入社予定の内定者は、いつ頃と考えているのか?
③認識がズレていると何がマズい?
①岡山県の人事担当者様は、いつ頃と考えているのか?
新しく社員を雇ったならば、当然戦力として成長させたいのは当たり前です。
しかし、新入社員にいきなり即戦力としてバリバリ活躍を求めるのは、さすがに限度があります。
そこでよく用いられる言葉が「早期戦力化」というワードです。
非常によく耳にする一方、早期早期と言いますが実際はいつ頃に戦力になっていれば早期と言えるのでしょうか?
後述になりますが、この認識のズレが早期戦力化において大きな障害になる可能性が高いのです。
では始めに、その責任を担う立場の人事担当者の方々の認識を確認してみましょう。
弊社SWITCH WORKSでは、2024年2月19日に無料公開セミナー「岡山新卒100名調査で見えてきた新人の早期戦力化に絶対押さえるべきポイント」を実施した際、お申し込みいただきました岡山に所属する人事担当者、計20社・22名を対象に質問してみました。
質問はフリーコメントでお答えいただき「いつまでになっていれば」という軸でまとめたところ、上記のような結果となりました。
当然、業職種や会社の規模などによって大きく変わってくるものですが、おおよその方が半年後~1年後くらいの間と回答されました。
あなたはいつ頃だとお考えになりますでしょうか。
では、肝心の新入社員はどのように考えているのか、続けて確認していきましょう。
②岡山県で働く新入社員や、内定者はいつ頃だと考えているのか?
続いて弊社SWITCH WORKSで行っております「新入社員研修フォローアップコース」にて、2023年度入社の新入社員たちに対して「あなたはいつ頃から本格的に、戦力としての働きを求められたと思いますか」という質問を行いました。
2月の回答者92名中、有効回答87名(無効回答例:これから頑張りたいです 等)の内容を整理したところ、下記のような結果となりました。
この結果から、以下のことが読み取れます。
①一番多いのが「半年後」である10月だった。
②それ以外を見ると「半年より後」に比べて、「半年よりも前」に戦力化を求められたと認識している者が多い。
③「2年目以降」等と答えた者がいる一方、「分からない」と答えた者の数はかなり多くの割合を占める。
④同じ会社内でも、配属や職種の違いを加味しても回答がバラバラだった。
さらに、2024年入社予定の内定者たちにも同様に「自分がこの4月から会社に入社してから大体いつ頃までに戦力として、活躍しないといけないと思っていますか?」と質問をしたところ、新入社員の回答に近しく「半年以内に戦力化」という認識を持つ者が多かったです。
③“早期”の認識がズレていると何がダメなのか?
ここまでの調査で「早期の認識はけっこうバラバラ」ということが見えてきました。
しかし、この結果を踏まえて、「で、それが?」と思うのがホンネです。
何が問題なのでしょうか?
実はこの「認識の時間軸のズレ」というものが、大きな不和を生む原因になると言われているのです。
2011年の研究論文「新入社員の就職意識と企業の社員への期待の違いについて」¹›によると、総括にて「企業と新入社員、お互いが相手を捉える時間の長さの違いに、両社の関係をギクシャクさせる根本的な原因があるのではないか」と指摘しており、若手の早期離職や燃え尽きの原因は個人の努力や熱意とは別に、そもそもの意識のミスマッチに問題があるのではないかと述べています。
本研究の調査によれば、企業側はより長期的な視点で関わり、育成する必要性を見出している傾向にあるとされ、他方の新入社員はより短期的な時間軸のなかで評価する傾向が高まっていると言われています。この研究は2011年に公開されていますが、「採用氷河期」「人的資本経営の時代」「終身雇用崩壊」「転職市場の活性化」「早期選考・採用活動の長期化」などと評される現在の社会的背景を考えると、この傾向はさらに強まっていると推測されます。
1) 竹中(2011)「新入社員の就職意識と企業の社員への期待の違いについて」鹿児島県立短期大学研究紀要,第62号,pp.31-48.
この研究と今回の調査を踏まえると、“早期戦力化”を達成する上でこの認識のズレを何とかすることは、実はかなり重要な事ではないでしょうか。
この問題について、どのように対処すればよいのか?
認識の不一致にたいして有効な対策は「明確な言語化」です。
・どうなっていれば「戦力」とみなせるのか
・いつ頃を目途に新入社員を戦力として扱えるようにするのか
・そのためにどのように教育計画を立てているのか
これらをまずは人事担当や教育担当、特に責任者が明確に定める必要があります。
さらに明確に言語化した後は、人事・教育担当の社員はもちろん、現場でOJTを行う上司や新入社員たち自身にもしっかりと共有し、会社内で明文化・意識の統一を行うことが重要です。
弊社SWITCH WORKSでは岡山の多くの企業様に対して、育成計画の設計や新入社員の成長段階やタイミングに合わせた研修など、さまざまなご支援をさせていただいております。
もし何かお困り事がございましたら、ご気軽にご相談くださいませ。